膨大な作業量
文章に纏めると数十項目だけですが実際に初めてみると大変な作業量と時間が必要となります。その作業を通常の業務の片手間で対応する事は、本当に大変な業務です。
<計画>
1:移転場所の選定
移転をする理由としまして現状の建物が古い・狭い・立地が悪い等、様々な理由があるかと思いますが、どのような理由にせよ移転候補地区を決める必要があります。
2:移転後の必要坪数の検討
現状坪数で良いのか?不足か?また不足の場合、どれだけ必要か?など移転先の必要坪数が決まりませんと物件を探す事すら出来ません。
*立地は良いが現状と同じ広さ・建物の形がいびつなどは移転をされてから一番後悔される事ですので、先ずは何を一番優先し優先順位を決めていただき、その優先順位に一番近い物件を探される事が大切です。
3:移転概算予算組の算出
移転に対しどれだけ費用が出せるのか?希望される移転先の平均坪単価や敷金は勿論ですが、引っ越しや内装費用・現物件の原状回復費用等が必要となります。またゴム印や封筒などの住所変更に伴う諸費用も掛かります。
4:移転時期
オフィスの移転の場合、規模にもよりますが大抵1日で引っ越しは完了出来ません。何故なら備品等の移動が出来ても備品配置後のコンセントやLAN・電話機の設置等の工事が必要ですので、週末の2日間や平日を含む4日間等、通常業務に影響の出ない範囲で時期を決める事も大切です。
*現契約の「解約通知」が何か月前からなのか?をこの段階で調べられ現物件と新物件の2重家賃期間を少しでも少なく検討される事をお勧めいたします。
5:手続き
現物件と新物件の賃貸借契約・公共料金・移転登記等、手続きすべき事が沢山ありますので、計画段階で移転に必要な手続きを把握して書面化しますと後々、余裕を持って手続きが出来ます。
<実務>
1:移転に必要な業者の選定
不動産業者・内装業者・看板業者・事務備品業者・OA機器業者・パソコン設置・設定業者・引っ越し業者など移転に必要な業者を選定します。
2:移転先の物件探し
不動産業者等に依頼をして希望される坪数や立地・賃料などの条件に見合った物件を探します。良い物件に出会えましたら「出店申込書」を家主様に提出します。併せて現契約物件の解約告知期間と極力被らないように新物件家主様との交渉をします。
*家主様も商売ですので家賃収入の入らない期間を出来るだけ無くそうと相談に乗ってくれない場合もありますが、交渉しなくては譲歩していただける事も無くなりますので先ずはダメもとで交渉をして下さい。
3:移転先の内装・レイアウトのプラン図を作成
内装業者や備品業者と打ち合わせをしてプラン図を作成し図面上で備品を配置し動線の確認や業務に合った間取りか?また併せてセキュリティーやネット・電話のセキュリティーの計画を進めます
4:原状回復見積依頼
現在契約されているテナントを退去する際に発生する原状回復工事ですが、このタイミングですべきかは状況により大きく変わります。原状回復業者がビル指定の場合で移転も総額によりしない場合は、間違いなくこの時点で見積を依頼しない方が良いです。なぜなら家主様に移転を検討している事がバレますので、移転出来なかった場合、家主様との関係にも関わりますのでお勧めできませんが、移転は絶対と決まっている場合は正確な予算総額を把握する為にも、このタイミングでの依頼をお勧めいたします。
5:移転に関わる見積依頼と予算確定
内装工事や事務備品等、移転に関わる全ての業者に見積を依頼し予算の確定をします
6:契約
物件・各工事関係業者と契約を結びます
*新テナントとの契約時には現テナントとの二重家賃支払い期間を極力短くするために、新テナントの工事期間を工事業者と綿密に打ち合わせをして、新テナントのオーナー様に工事期間中の家賃支払いの免除か減額をお願いして下さい。中々要望に応えて下さるオーナー様は少ないですが協力して下さる方もいらっしゃいます。
7:現テナントの解約通知提出
移転先の各工事完了時期を確認し現テナント契約書に記載されています「解約通知」を家主様に提出して下さい。例えば6か月前告知の場合、解約通知を家主様が受け取ってから6か月後に解約できる事になりますので、新テナント移転後から始まる現テナントの原状回復期間を含めて6か月後に契約終了が一番望ましい形ですので、二重家賃の支払い期間を極力短くする為にも解約通知時期の検討は大事です。
いよいよ移転に向けての最終段階です
これから移転までは事務手続きや消耗品の印刷物の手配です。
1:事務手続き
警察署⇒社用車がある場合は車庫証明の提出
消防署⇒防火対象物使用開始届の提出
(現テナントは防火対象物廃止届)
防火・防災管理者選任(解任)届
(現テナントで提出の場合は解任届)
消防計画作成(変更)届
(現テナントで提出の場合は変更届
郵便局⇒郵便物届出変更届
法務局⇒本店・支店移転登記申請書とそれに伴う議事録
労働基準監督署又は公共職業安定所
⇒雇用保険事業主事業所各種変更届
労働保険名称・所在地等変更届
年金事務所⇒健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地
名称変更(訂正)届
税務署⇒異動事項に関する届け出
給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出
銀行口座・クレジットカードの住所変更手続き
電気・ガス・水道・電話・光回線・プロバイダー等の
現テナントの停止時期と新テナントでの開始時期の通知
リース品の住所変更と移設に関しての連絡と確認
*リース会社が移動をしてくれるのか?移設費用等
住所社印・封筒・名刺等の印刷物の変更
新テナント契約と同時期にこれらの事務手続きを進めて行きます。また新テナントの工事も併せて着工して動きますので、これらの作業と同時並行で各工事業者との打ち合わせや内装材の色決め等を行います。
*ご注意
業種・移転先によりこれら以外で必要な手続きも必要な事がありますので、諸官庁への事前確認と協議をお願いします。
<引っ越し>
1:新テナントの内装工事完了、引き渡し検査
2:新規事務備品搬入
3:現テナントから既存備品・書類等の引っ越し
4:事務備品への電気・LAN工事・P,C・OA機器設置工事
5:電話機設置
6:新テナントで営業開始
7:旧テナントの原状回復工事⇒完了⇒引き渡し